AIの進化により、私たちの仕事の在り方が大きく変わりつつあります。
製造業ではロボットが作業を自動化し、
ホワイトカラーの業務でも、データ分析や報告書の作成までAIが担うようになってきました。
AIが仕事をこなすスピードと正確さは、人間の比ではありません。

そのため、これまで必要とされていた業務の多くが効率化され、
場合によっては「不要」になる可能性もあります。
では、こうした時代において、
私たちはどのような価値を発揮していけばよいのでしょうか?
「人間の仕事がなくなる」という声をよく耳にしますが、
実際にはそうとは限りません。
むしろ、AIにはできない「考える仕事」が、
今後さらに重要視されていきます。
そこに、人間ならではの価値があるのです。
AIにはできない「考える仕事」とは何でしょうか?
AIが得意とするのは、
決められたルールに従って答えを導き出すことです。
データ分析、定型的な事務作業、予測モデルの作成など、
いわゆる「答えが決まっている」仕事において、AIは圧倒的な力を発揮します。

一方で、「考える仕事」とは少し性質が異なります。
それは、未知の課題に対して自ら仮説を立て、
試行錯誤しながら解決策を見つけていく営みです。
たとえば、次のような仕事がこれにあたります。

創造的な企画立案では、
顧客の潜在ニーズを読み取り、これまでにない商品やサービスを考えることが求められます。
トラブルシューティングにおいては、
想定外の問題が発生したとき、迅速に状況を判断して対処し、
被害を最小限に抑えることが大事です。
人間関係の調整やリーダーシップの場面では、
チーム内の意見をまとめ、メンバーの士気を高め、
プロジェクトを成功に導くことが必要になります。
これらに共通しているのは、
単純なルールでは答えが出せない「未定義の問題」だということです。

AIは過去のデータに基づいて予測することはできますが、
「過去にない新しい問題」に対しては、本当の意味での対応が難しいのです。
「考える社員」がいないと、
組織はどうなるのでしょうか?
ここで少し、身近な場面を想像してみてください。
お客さまからのクレームがあっても、
上司が指示するまでメールの返信すらしない。
今の仕事に明らかに効率の悪い部分があっても、
「これがやり方だから」とそのまま続けている。
AIツールを導入したものの使いこなせず、逆に業務効率が下がっている。
不良品が発生しても原因の調査をせず、同じ問題を繰り返している。
こうした状況に、思い当たるふしはないでしょうか。
これらは、指示されたことだけをそのまま続け、
新しいことや予期しないことには積極的に関わらない「指示待ち社員」の特徴です。

自分では判断も決断もせず、言われたことだけをこなす。
そういった社員ばかりでは、
変化の激しい時代に迅速に対応することができなくなります。
では、「考える社員」がいる組織は、どう違うのでしょうか。
実際に「考える社員」がいる現場では、
クレーム対応に積極的に関わり、対応策を考えて実行するだけでなく、
同じトラブルを繰り返さない仕組みまで作り出します。

効率の悪い部分に気づいたら、対策を試行錯誤しながら改善していきます。
良い製品を作るために、不良品の原因調査や対策を自ら動いて実行していきます。
こうした行動ができるのが、「考える社員」の本当の強みです。
「考える社員」を育てるために、
何が必要でしょうか?
「考える社員を育てたいけれど、
どこから手をつければいいのかわからない」という声を、
経営者や管理職の方々からよく聞きます。
実際に、育成の方法が見えにくいのは事実です。
その鍵は、次の3つのことにあります。
まず、考えることの意義を理解させることが大事です。
「なぜ考えることが重要なのか?」を腑に落ちるかたちで伝えることで、
社員の中に考える意欲が生まれてきます。
意味を理解していない行動は、長続きしないものです。

次に、考えるための枠組みを提供することです。
フレームワークやシートを活用して、
「何を」「どうやって」考えればよいのかを明確にすることで、
社員は迷わずに考えを深めることができるようになります。

そして、考えた結果を評価する仕組みを作ることも欠かせません。
考えたことを見える化し、丁寧にフィードバックすることで、
社員は「考えることに意味がある」と実感し、
次のステップへとつながっていきます。

あなたの組織には今、「考える社員」がどれだけいるでしょうか?